こんにちは。
先日担当しているプロキックボクサーのメンバー様が前十字靭帯を断裂してしまい試合を控えておりましたが断念せざるを得なくなりました。
再建手術+リハビリを経てリングに復帰するまでに最低約6か月以上は要することとなりました。 試合に向けてトレーニングも調整していたので残念です。
膝靭帯の怪我は少なくありません。整形外科の診断だと損傷も断裂も同じカテゴリーになるようです。どのようにして怪我をしてしまうのかは、また別の機会でお話させて頂くとして
今回はこのような事例に因んで靭帯より事例が多い筋損傷における回復に有効な栄養素をご紹介したいと思います。
筋挫傷や筋傷害はアスリートに多くみられるが、その主な原因としてスポーツに求められる多くの責務と高強度が挙げられます。
筋傷害の発生率はスポーツ関連傷害全体の10 ~ 55%であり傷害の程度によって異なるが通常のトレーニングや試合に復帰できるようになるまで約3ヵ月を要します。
回復時間を短縮し筋組織の瘢痕(はんこん)化を防ぐために食事に含まれる主要栄養素に注意が必要となります。
回復に効果的な主な栄養素
量 | 成分 |
---|---|
376mg | エイコサペンタエン酸(EPA) |
264mg | ドコサヘキサエン酸(DHA) |
672mg | γ-リノレン酸(GLA) |
100 μg | セレン |
15mg | 亜鉛 |
1mg | ビタミンA |
2.2mg | ビタミンB6 |
90mg | ビタミンC |
15mg | ビタミンE |
各種成分の詳細
☆エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびγ-リノレン酸
エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)、γ-リノレン酸(GLA)が炎症を緩和し、抗炎症剤として作用することを裏付ける確かなデータがあります。
我々の食事は、アラキドン酸( n- 6 ポリ不飽和酸)が増える一方、EPAやDHA、GLAが不足しがち。オメガ3脂肪酸の摂取量が増えると体内でつくられるサイトカインと呼ばれる炎症誘発性化合物は減少します。これらの抗炎症性作用の効果に関していえば多量のDHAも炎を緩和することが判明しています。
週に2回、脂の乗った魚を3オンス(約85 g)食べ飽和脂肪ではなく植物性の油を摂取するように心がけよう。魚が苦手な人はクルミ油や亜麻仁油キャノーラ油、大豆油を摂取すること。
☆セレン
セレンは、様々な酵素の機能にとって重要だが、筋傷害の場合、グルタチオンペルオキシダーゼとチオレドキシンレダクターゼの経路で重要な役割を果たします。これらの経路は酸化ストレスの防御に不可欠であり、適量のセレンがあれば最適な効率で機能します。
セレンを含む栄養源として、マグロ、タラ、七面鳥、卵、ニンニクのほか、オートミールやパンなどの強化穀物食品が挙げられる。セレンのRD(recommended dailyallowance:一日当たりの推奨量)は男女とも55μgである。
☆亜鉛
亜鉛は、創傷や炎症の治癒、正常な免疫反応に不可欠な栄養素です。
亜鉛を豊富に含む食品として、ヨーグルト、豆類(レンズ豆、エンドウ豆ど)、ミルク、ホウレンソウ、シーフードなどが挙げられる。亜鉛のRDAは、男性が 11 mg、女性が 8 mgである。
☆ビタミンA
筋傷害を適切に治療するにはビタミンAを含む食事が不可欠。ビタミンAの働きとして細胞の成長、発達、骨の修復、免疫機能などが挙げられます。
ビタミンAの豊富な栄養源として、サツマイモ、ニンジン、マンゴー、ホウレンソウ、赤ピーマンなどが挙げられる。ビタミンAのRDAは、RAE(retinol activity equivalents:レチノール活性当量)で男性が 900μg、女性が700μg である。
☆ビタミンB 6
タンパク質と赤血球はいずれも筋の回復にとって重要であるが、ビタミンB 6 はこれらの正常な代謝に不可欠です。
強化食品やヒヨコ豆、ジャガイモ(皮付き)、シーフード、アボカドに多く含まれている。ビタミンB 6 のRDAは、男女とも1日あたり1.3 mgである。
☆ビタミンC
ビタミンCは筋力と柔軟性に必要なコラーゲンの形成で重要な役割を果たすほか腱や靱帯の修復、骨の強化を助ける働きもあります。
柑橘系の果物やキャベツ、トマト、ブロッコー、イチゴなどの食物に含まれている。ビタミンCのRDAは、男性が 90 mg、女性が75 mgである。
☆ビタミンE
動物試験の結果ビタミンE(α-トコフェロール)には運動によって生じる酸化ストレスと炎症性ダメージを軽減する働きがあることが示唆されています。ビタミンEの豊富な飼料を3週間摂取したラットがトレッドミルで60分間走り続けたという報告もあります。
酸化ストレスと炎症性ストレスのマーカーを測定した結果、ビタミンEの豊富な飼料を摂取した治療群は非治療群に比べてこれらのマーカー値が有意に低かったことが判明しています。
ビタミンEの豊富な栄養源として、小麦胚芽やヒマワリ油、ピーナッツ、アーモンド、ホウレンソウ、ブロッコリー などが挙げられる。ビタミンEのRDAは、RRR-α-トコフェロール当量で1日当たり15 mgである。
タンパク質
筋の回復中、エネルギーとタンパク質の必要量が増加して代謝が変化します。
最も軽症の筋傷害である筋肉痛の場合、タンパク質とエネルギーの必要量は傷害発生後およそ48時間にわたって増加します。さらに脂肪の酸化が増加しインスリン感受性が低します。さらに重症度が高い軟部組織や骨格筋の傷害では、約3週間にわたって基礎代謝率(BMR:basalmetabolic rate)が32%上昇する場合もあります。
十分なトレーニングを積んだアスリートでもオルタナティブワークアウトプログラムを続けて行うと窒素バランスがマイナスになり食事によるタンパク質の必要量が増加する可能性があります。タンパク質のRDは、アスリートや傷害から回復中の人の場合、体重1kg当たり1.2 ~1.8 gです。
おわりに
適切な栄養管理は、筋傷害の回復にとって重要な要素です。長期的にみた場合、抗炎症性の食品は回復力を高めるだけでなく傷害の再発予防に役立つといえます。回復のために十分な栄養を摂取してほしいと思います。
今回は専門的な言葉など多くなりましたがご自身が、もし筋損傷した際、この記事はかなり役立つと思いますので参考にして頂けますと幸いです。
本日は筋損傷における回復に有効な栄養素のお話をさせて頂きました。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。